千年姫の幻想界
…… もう何度も見てきた。
魔法陣の、文字が輝く瞬間を。
そして、それが消える瞬間も──……
「───tαke мЁ тo…」
呪文が終わった。
いつもはここで弾かれる。
しかし……
──パァァァアア──
文字が、眩しく輝いた──……
(───っ!
成功か……?)
大きな期待と小さな不安が混じり合う。
100回近く挑み、やっと魔法陣が作動したか?
喜んでいたその瞬間。
────カッ────
とても目を開けていられない、強い光に包まれた。
そして、全身がグッとどこかに引っ張られる感覚がして──
「ぁぁあ……っ」
今度は、凄まじい圧力が彼を襲う。
(苦しい……っ。
どうしてこんなに荒いんだ。
俺の魔法が下手なのか!?)
頭の隅で考えながら、体は酸素を求めるあまりに咳き込んだ。
「はっ……ぐううっ……」
息が出来ない。
おかしい……。
本当に成功なのか?
苦しみながらも冷静になろうとするが、現状は分からないまま。
やがて──
何の前触れもなく、バッと開けた視界。
彼の目に飛び込んできたのは、空を飛ぶ時よく眺めた……
上空からの、町並みだった────