千年姫の幻想界
……いや、決定的に、違う事があった。
それは、自分を下から淡い光が照らしている事。
それのお陰か、ゆっくりと、落ちる事無く降りてゆく。
そうして、森の少し開けた場所に降り立った。
それと同時に、淡い光も消え去る。
……教授。
これは、成功ですか。
長距離瞬間移動って、こんなに命懸けですか。
何で空から降りたんでしょう?
普通、地上に出ますよね。
色々疑問を抱えながら、教授に連絡をとろうと呪文を唱える。
が、しかし。
「何故だ何故だ何故だ…………」
思わず何度も呟いてしまうほど、何回唱えようが教授と繋がることはなかった。
というか、魔法が、発動しない!
「何でだよ!」
さすがに、頼みの綱だった教授への連絡が取れないとなった途端不安になる。
それからも何度も試みたが、やはり成功しなかった。
……どうすりゃいんだ。
こんな、知らぬ土地で……夜の森の中。
ガサガサ……カサ、
ほら、やっぱり、何か来た。
隠れた方が良いのか?
……もしかしてさっきの光を、何人にも見られていたのではないか?
それが助けになるのか危機になるのか分からない。
ガサガサ……
何だ……何が来る?