終わる日のこと。
朝。
「庵(いおり)、起きて!!」
私は今日も、隣の部屋で眠る、中学3年生の弟・庵に声を掛ける。
庵はいつも寝起きが悪い。
そのくせ、いつも鬱陶しいくらい元気。
よく、『悪ガキ』と称される庵だけど、私にとってはたった一人の、大切な弟なんだ。
眠い目を擦り擦り、やっと起きてきた庵と一緒に、私は階段を下り、リビングに向かう。
「お母さん、おはよー」
「紗央莉、庵、おはよう」
私が声を掛けると、いつもの笑顔で応えてくれるお母さん。
朝だけじゃなくて、お母さんはいつも、私たちが声を掛けると、ふっと笑い掛けてくれる。
その笑顔が、私も庵も大好きだ。