こんなお葬式【長篇】
僕はそんな仕出し料理屋時代、配達のアルバイトとして勤務していた。アルバイトではあったが、配送管理や料理営業の方も手掛けており、いつしかその辺りの仕事の責任者になっていた。

そんなある日、急遽葬儀社買収の話が浮上したのである。
業界では信じられない、下請けからのM&Aの話だ。

着々と商談が進み、およそ話が纏まる方向になりかけた頃、出始めと様子見の意味で料理屋としてその葬儀社と取引する事になったのである。

無論その時はまだ、どちらの会社の社員も売買と云う事情は知らされておらず、水面下での動き。その取引の窓口が僕だったのだ。


僕は裏の事情は聞かされていた。


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