こんなお葬式【長篇】
あの買収の日から、相も変わらず優しい献茶の御姉さん達は、

─明日も参列はないん?

─仕上げはするん?

─初七日は?

等、出掛ける前の子供に忘れ物の確認をするような口調で次々に僕に質問した後、

─頑張ってや。

そう言い残して会館を後にして行った。

たった一人の葬儀なので、実務を頑張れと言っている訳ではない。
姿勢の問題……尽くしてやれと発破をかけてくれているのだ。


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