こんなお葬式【長篇】
朝の困惑
式当日、僕は開式の一時間前に式場に向かった。

そこでまたもや驚かされる。

先に挨拶に寄った部屋に、おばあさんが居ないのだ。

『外出をしてもいいですか?』と言っていた、おばあさんの言葉が頭をよぎる。

すぐさま事務所に行き、田下さんに確認した。

─おとうちゃん、小部屋のおばあさんは?

─え?居てないの?出掛けるのは見なかったから部屋に居ると思ってたで。

全くマイペースで行動力のあるおばあさんである。



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