こんなお葬式【長篇】
─参ったな……。

僕の不安は、住職が到着した頃には最高潮に達していた。

深夜の外出であれば、鍵がかかっているはずだ。田下さんが知らないのなら朝になってからか……逆に鍵のかからない内に出掛けた事になる。

(朝方に散歩へ出掛けて迷った?)
誰かに道を聞けばすぐにわかる事だと思う。

(まさか家に帰った?)
おばあさんの事だ。有り得ないとは言い難い。

(何の用事で?)
喪服を取りに帰ったのかも。

(でも時間位は間に合うやろ?)
かなりマイペースな感じ。

(外で何かあったんかも?)

…………。


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