こんなお葬式【長篇】
時計に目をやると、9時18分を指している。

取り敢えず自宅に電話をかけてみる。が、当然誰も出ない……。

携帯電話なんぞは当然持っていない。

─さぁ、いよいよヤバくなってきたな……。
嫌な汗すら出て来る始末である。

僕がどうしようも無く、お手上げ状態で事務所で頭を抱えていると、

─遅くなってすいませ~ん。

喪服を着たおばあさんがドアを少し開きながら顔を出した。

表情は相変わらずの優しい笑顔である。


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