こんなお葬式【長篇】
おばあさんは心配そうに、そしてやや嬉しそうに、中腰になってその様子を眺めていた。

─もう最後やから、忘れ物があったらごめんね。

と、最後に小声で一言、「言葉」を添えた。

胸が熱くなりながらも、二人で住職に挨拶へ行った後、

─さぁ、それでは間も無く始めますのでお部屋でお待ち下さいね。

そうおばあさんへ促し、僕は静かに蝋燭に火を灯した。


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