こんなお葬式【長篇】
今、おばあさんの最後の「想い」は形になろうとしている。

何の知識もなく、金銭的な余裕もなく、様々な不安の中で願った最後の形だ。

(おじいさん、貴方はさぞいい男やったんやろな……。)

思わずそう思ってしまう。それ程までに愛情を感じずにはいられないのだ。

羨ましくもある生涯の伴侶の行動は、おじいさんの人柄や行いをも決定させる位に……。

夫婦の絆はそんな単純な物ではないのだろうけど。
それでも、僕には自信がない。


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