こんなお葬式【長篇】
その笑顔は……まるで気を使いながら客をもてなす様な、頼み辛い事を頼み、下手に対応する様な、そんな愛想笑いだ。

─すいません……わざわざ。あの…どうしたらいいのかわからんないので、病院の看護婦さんに教えてもらって……。

先に話し出したのはおばあさんだった。

まるで弁解でもしているかのように聞こえる。
時折何度か看護士の顔をチラリと見たりしながら、主導権を持て余している。

─あぁ、この度は大変な事でした。本日お送りを担当します公蘭社と申します。他に御親族様は……。

部長が挨拶を交わしながら、一人である事の確認をさりげなく問い掛ける。

僕は部長の、「あぁ、…」と頭に付ける口癖がきらいだった。


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