こんなお葬式【長篇】
僕の心配をいち速く察知するのが、さすが同僚である。

何を感じ、何を欲しているのかを理解し、今までに幾度となく助けられている。

─私達は何も出来へんよ。情は辛いだけやで。痛い程わかるけど……。

不意にそんな言葉を小声でかけてきてくれた。

─仕出しがないんなら、商店街でお弁当屋さんに寄って行ってあげようか?


そう、僕は「情」によって仕事を見失っているのである。

彼女は、自己満足の方法をさりげなく示してくれていた。


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