こんなお葬式【長篇】
しかし、おばあさんはそれを丁寧に断る。

─ありがとうございます。でもそこまでしてもらっては気の毒やし、私はどこかへ食べに行きますから……。

何度か勧めはしたものの、

─時間も沢山あるし、部屋で一人でいても退屈でさみしいから……。

最後に返ってきた言葉だった。

昨日何度もおじいさんの傍らに座っている姿を見ていた僕は、何も言えなくなってしまった。

やはりおばあさんにとっても、昨夜は“一人”ではなかったのだ。

自己満足は、やはり自己の満足だという事のわかる解答だった。


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