こんなお葬式【長篇】
社に戻った時はもう七時半になっていた。まだみんなの出社前だ。

葬儀社の仕事に時間は決まってはいない。とは言え、当直に当てられた社員以外は、通常の会社員と同じように出社し、帰宅する。

通夜には通夜で献茶婦が世話係として付く事が多いので、通夜式が終わる頃には帰宅出来るのだ。

僕はみんなの出社前に、見積書の控えと提出書類の作成にかかった。

搬送日報を見ると、部長は早めに出勤してきた社員と次の搬送に出掛けてしまったようだ。

(部長の仕事を手伝わされた奴は可哀想やな……。)

役場に提出する火葬の申請書を記入しながら、僕はぼんやりと考えていた。

自分にとって、一つの仕事が発生した時の「主」となるのは、人の「死」である。

今しがた、数時間の間に仕事が二件……。少なくとも、二名の命が絶たれた事を意味する。


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