LOVE School LifeⅢ
☆
秋人はあれから私をずっと抱き締めていた。
私も特に何か言うでもなく好きにさせていた。
そこに、誰かが近付いてくる音がする。
確実にこの部屋に近付いている。
……待って、これってもしかしてだけど。
「秋人、離れて」
「は、なんで」
「誰か来たじゃん」
「別に良くない?」
「よくない」
ぐぐっと力を入れて引き離そうとするが、秋人の力に敵うわけがない。
そうこうしているうちに襖がすーっと開いた。
「……」
もちろんそこに立っているのは瞬だった。
白いTシャツと、デニム。なんてことないコーディネートなのに、似合っている。
こっちを見て少しだけ目を見開くと、何も言わずにそのまま襖を閉めた。
「おいっ!」
思わず私は声を出していた。
その影は遠ざかろうとしている。ちょっと待て。帰るな。
瞬はいつも通り漫画を読みに来たのかもしれない。
なんでもいいけれど、待ってくれ。
「秋人!?ねえ、ちょっと離して」
「嫌です」
「ああもう」
私が秋人に切れかけた時、また襖が開いてずんずんと瞬が中へ入ると、同時に。
ドカッと思い切り秋人を蹴り飛ばした。
急すぎて言葉が出なかった。
私の顔のすぐ横にある瞬の長い足。
瞬は秋人をじっと見降ろす。
すぐに起き上がった秋人が瞬を睨みつけた。