LOVE School LifeⅢ

秋人はあれから私をずっと抱き締めていた。
私も特に何か言うでもなく好きにさせていた。


そこに、誰かが近付いてくる音がする。
確実にこの部屋に近付いている。

……待って、これってもしかしてだけど。


「秋人、離れて」

「は、なんで」

「誰か来たじゃん」

「別に良くない?」

「よくない」


ぐぐっと力を入れて引き離そうとするが、秋人の力に敵うわけがない。
そうこうしているうちに襖がすーっと開いた。


「……」


もちろんそこに立っているのは瞬だった。
白いTシャツと、デニム。なんてことないコーディネートなのに、似合っている。

こっちを見て少しだけ目を見開くと、何も言わずにそのまま襖を閉めた。


「おいっ!」


思わず私は声を出していた。
その影は遠ざかろうとしている。ちょっと待て。帰るな。

瞬はいつも通り漫画を読みに来たのかもしれない。
なんでもいいけれど、待ってくれ。


「秋人!?ねえ、ちょっと離して」

「嫌です」

「ああもう」


私が秋人に切れかけた時、また襖が開いてずんずんと瞬が中へ入ると、同時に。

ドカッと思い切り秋人を蹴り飛ばした。


急すぎて言葉が出なかった。
私の顔のすぐ横にある瞬の長い足。

瞬は秋人をじっと見降ろす。
すぐに起き上がった秋人が瞬を睨みつけた。

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