【BL】黒ネコの生き様∥たんぺん∥
屋上の階段を駆け上がる。
すでに窒息死しそうだ。
「あと、少し…!」
最後の踊り場を踏みしめ、階段を数段上ったとき。
「…ハァ、捕まえたー」
怖い顔をした辻君に、捕まってしまった。
「どこに行くのかなーと思ってたけど、人が居そうな屋上とはね。
ちょっとおいたが過ぎたようだよ。」
ああ、だめだ。
捕まってしまったら最後、気が済むまで解放されない。
頭脳と毛並みが自慢の黒猫は、耐えることしかできない。
殴られ、蹴られ、階段が皮膚に食い込む。
イタイ
そんな感情が、神経を駆けめぐった。
今からでも遅くはない、屋上に行かなければ。