東京血風録2-緋の試練
霧華拉致から、丸2日が経った。
男は大いに悩んでいた。
うまく事が進んでいるとは思えなかった。元来、犯罪に身を染めるようなことは考えられないような、温厚な性格だった。
鬼児に取り憑かれ操られておいても、この違和感は拭うことができなかった。
霧華には、トイレに行くことだけを許していた。
それ以外、テレビも何もない部屋で過ごすことを命じた。食事は与えてない。
霧華は丸2日何も食べていなかった。水は自由に飲むことができるので、脱水症状になることはなかったが、さすがに空腹を満たすことはなかった。
男を刺激しないよう、霧華から食事の要望をすることもなかった。限界が近づいていた。
摂津秋房は、男の存在を気にしていた。
鬼児の気配を辿れば、見つけることは容易いハズだ。
動かないと決めたのは、感じる不協和音からだった。自身が思い描いた図式と全く違う次元で事が進んでいる。
それは、不本意過ぎて笑ってしまうほどだった。笑いは度を過ぎると、怒りに換わる。
その寸前だった。
遥と飛鳥の捜索は、あさ早くから始まった。駅を三駅ほど進んで、捜索範囲を広げていた。
遥は姉の容体が気になった。元々、大病はしないとはいえ、身体が細身の上食も細い。ちゃんと食べていれば、心配もないが危害が加えられてないかとか、考えると限がなかった。