東京血風録2-緋の試練
遥は、校舎の階段を下りる。
(上手くいったの)
(交渉成功しました)
遥と剣鬼・伊號丸の会話である。
校舎入り口の下駄箱まで来ると、藤堂飛鳥が待っていた。ここまで一緒に来て、交渉が終わるまで待っていたのだ。
目が合った。遥が小さく頷くと、飛鳥もそれに呼応した。
並んで校舎を出る。
校舎入り口からすぐ先、大柄の男が立っていた。学園の制服だ。
大鉄と無良(むら)だ
摂津の声がして姿を探すと、さらに前方校庭の中ほどに、摂津は立っていた。
その奧に、長髪の男が立っている。
「俺がこいつと闘りますよ」藤堂飛鳥が手前の男の前に進み出る。
「俺は剣士とやる」
大柄の男・大鉄が低い唸る。
「そういう組み合わせらしいよ」遥が飛鳥の横に立ち、無良の方へ行くよう促した。
その手には伊號丸が握られていた。
不思議なことがある。
もう登校して来る生徒がいてもおかしくない時間なのだが、人の姿が誰一人見えないのだ。
鬼の結界。摂津が何かしたに違いない。
「お誂え向きだ」
遥は小さく呟いた。