東京血風録2-緋の試練
どうしたものか、遥は考える。
電話が来たのは、つい先程午前9時過ぎのことである。
内容としては、見知らぬ男から、姉霧華を預かっている旨の内容だった。
姉を預かる理由も要求もない、なんとも不安を煽る内容だった。
(摂津秋房の仕業かの?)
そう述べるのは、剣鬼・伊號丸である。
剣鬼とは、剣や刀に取り憑いている守護霊みたいなモノで、剣に触れることで意志の疎通がはかれた。
伊號丸に関してだが、とても友好的な性格で、色んな話をしている親友のような存在である。
小学校4年の時からだから、もう8年の付き合いになる。
辛い時、悲しい時、楽しい時、試練や逆境も2人(?)で乗り越えてきた。
いわば戦友でもある。
摂津秋房は、鬼の王である。
遥は彼に、破れている。
完膚なきまでに叩きのめされた。
彼に勝つために、修行に出る。その算段の最中の出来事である。
(奴に勝つためには、修行は不可欠じゃが)
伊號丸の言葉に、遥は反応する事が出来なかった。
遥の姉を想う気持ちは強かった。
母亡きあと、全ての面倒をみてくれた。
その恩義を、決して忘れることはない。
姉の為、持てる力を総動員して救出する事を心に誓った。