東京血風録2-緋の試練
病室に入ると一同、遥、飛鳥、真琴の表情が明るくなった。
霧華の意識が戻っていたのだ。
霧華は、半身を上げていた。ベッドの背もたれを少しだけ上げ、枕に顔をうずめながらも、こちらを見る眼は温もりが感じられた。点滴を繋がれ、顔色こそ冴えない感じだが、体調は概ね良好なのであろうと推察された。
飛鳥は面識があるが、真琴は初は
見である。臆することもなかろうが、体調面を考えれば、このようになるであろう。
霧華は目と口との形で笑みを作ると、言葉にならない声で、ありがとう、とそれだけ告げた。
3人は、胸が締め付けられる想いだった。か細い体でどれほどの苦境を強いられたのか、笑顔の裏側に潜む強靭な精神を感じずにいられなかった。
霧華はゆっくりとした動きで、細い腕を伸ばした。
遥はその手を握り締めた。
見つめた霧華のその眼には、気をつけなさい、と明確な意志が込められていた。
遥はそれをしっかり感じていた。
僕は負けられない。
そう、固く誓った。
そして、時は移りゆく・・・。