東京血風録2-緋の試練
おタカが、言葉を紡いだ。
「ようこそ○○村へ。いや、御業の結界へと言ったほうがいいかしら。覚悟の上の行軍お疲れ様でした。
御業の結界保管委員現委員長、上遠野林タカと申します。おタカさんとでも呼んで頂こうかしら」
何気ない挨拶だったが、遥はざらりとした悪寒を感じた。
冷や汗が背中を伝う。
そんなことがあるのだろうか?
確率的に言ったら、どの程度のパーセントになるだろう。
こんなこと、確率的になんて計算できないだろうけど…。
上遠野林(かとおのばやし)。
こんな稀な苗字の人に、そうそう出逢うハズはない。
これは何の偶然なのだ?
上遠野林は、母の旧姓であった。
遠縁の親戚?
聞いたこともない。お祖母ちゃんは自分が生まれる前に亡くなっていると聞いているし。
この偶然は有り得ることなのか。
疑問と不安が、遥の顔にありありと現れていた。
それをじっと見つめていたおタカが、悟ったら様に言った。
「王道遥さん」
呼びかけに遥は、おタカを見返した。
「遥さん、いや、遥。
お久しぶりです。いや、
はじめまして、だわね。
大きくなりましたのね。
私がお祖母ちゃんです」
え、え、ええええええええええ~っ!!