東京血風録2-緋の試練
(修行はやめにする。実戦で磨いていこうと思う。それでいいかい?)
伊號丸に訊いているのだ。
(うむ。儂と遥殿との波長というか、同調次第で格段に強力になると思う。
そこに気をつけて鍛錬して参ろう)
伊號丸は、そう応えてくれた。自信のほどは、ない。どこまで成長できるかが鍵となる。少しでも強くなる必要があるが、姉のことを考えるとそうも言ってられない。
藤堂飛鳥に連絡をすることにした。
柊一と真琴には、距離の関係もあり、まだ連絡はしないこととした。
男は目を閉じて、椅子に座り、静かに考え込んでいた。
奥の部屋には、王道遥の姉・王道霧華が軟禁されている。
摂津秋房には内緒で行ったことだ。
しかし、喜んでくれるだろうという自負がある。摂津様の邪魔をする五月蝿い障害を取り除く為の駒なのだ。この女は。
だが、気を付けなければならない。同胞である日暮幸多を葬ったのは、他ならぬ王道遥なのだ。より事を優位に進める為に拉致という手段を取った。多分、警察に連絡しないだろうと踏んだ。おびき寄せて直接手を下してやろう。が、手段がよくわからない。へまをするわけにはいかない。慎重に事を進めなければ。
それにしても、摂津様にはなんと連絡しよう。喜んでもらえるはずだ。喜んでもらえるはずだ。