東京血風録2-緋の試練
2 胎動
夜が明けた。
男は考えた。
早く摂津様に伝えよう。
いや、伝えなければ。
しかし、ここを動くのは得策ではない。
さて、どうしたものか。
藤堂飛鳥は、朝から動き出した。
調べる人脈や手立てがない。
自分の足で調べるとしても、闇雲に動いたところで、この東京では何の成果も上がらないであろうことが、予想された。
自分の能力を活用しようと、思い立ったのは街角で、地縛霊を見つけた時であった。
彼らなら目撃していることもあるだろう。何より、その彼らのネットワークを利用されてもらおうと考えた。
下手に出て、様子を窺うのだ。
地道な作業になるだろう。
気合いを入れて、視えるモノたちを探し始めた。
王道遥は朝起きてから、伊號丸に相談していた。何か、効率のいい探し方は無いか、と。
伊號丸の答えだと、遥奥義の一つ魍魎探索レーダー“陣地不背”を応用して、空中に念を飛ばして捜そう、というのだ。
考え方としては、陣地不背は伊號丸から地面を介して念を放射状に飛ばすのだが、今回は伊號丸を降り念を飛ばして反射して帰って来る反響音を比べる、即ちソナー方式で捜そうというモノだった。
一気に広範囲に使用できるのと、距離や場所も特定しやすいだろうということだった。が、実際は障害物が多いのと、それが何かと判断するのにそれなりの訓練がいるし、屋外で棒切れを振り回している、変質者に間違えられそうな危険なまモノだった。
だが、頼るべきこともなく、人目を盗んでは念を飛ばしながら移動してみた。