偽物シンデレラ
『てっきり舞踏会に行きたいのだと………』
少しおどおどしたように、彼女は心配そうな目でわたしを見た。
そうだ、今日この時間はだいたいの女は舞踏会に行ってる。
でも、わたしは行ってない。
いや、行くことができない。
「わたしなんかが行く場所じゃないわ」
クスッと笑えば、少しだけ彼女は眉をひそめた。
そんな顔しなくてもいいじゃない。
わたしは行かなくてもいいって思ってるんだから。
やだ、これ本当よ?