偽物シンデレラ


「…もし、わたしが行きたいと言ったってドレスがないわ」

『大丈夫です、私が魔法でなんとかします』


それなら、


「髪を結わいて、靴を履いて…あとお城まで行くのにだって時間がかかるわ」

『それも大丈夫です、私が魔法で…』


ねぇ、さっきから魔法で魔法でって。
彼女の言葉を聞くたび聞くたび、胸の中から押し上げてくる言葉。


わたしが貴方に言いたいのは。


「…つまりは魔法でなんでも出来るのでしょう??
こんなわたしでも貴方ならこのわたしを、舞踏会に行かせることなんて余裕なんでしょ!?


なら、どうして。どうして!!」


大きな声で話し、彼女から目を離さない。
すると彼女は驚いて少し肩をビクッとさせ…

でもわたしから目を離さない。
きっと離すことが出来ないんだわ。







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