偽物シンデレラ


「貴方が舞踏会に行ってもいいじゃない…」


そんなに悲しそうな顔してるのに。
そんなにも辛そうなのに。

興味はある、でも寧ろ興味しかないわたしを行かせようとするんじゃなくて…


「行きたいなら貴方が行くべきよ」


そう言い切ったわたしは、ふぅ…と息をつく。
一気に話したら一度に疲れがきた。
久しぶりだわ、こんなに一気に話したのは。



悩んでるのかここまで行っても魔女の彼女は何も答えない。
口を誰かに縫われてしまったかのように、口を開かない。


…そういえば、名前がないって言ってたわね。



「…じゃあこうしましょう?」


何も話さないでいる彼女にわたしは、また言葉を続ける。
身知らずの貴方をこんなに説得してまで舞踏会に行かせようとしてるわたしは、どうかしてしまったのかしら。

ただのお節介ね。







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