偽物シンデレラ
その瞬間、ドキッと胸が高鳴る。
前と違う声なのにでもやっぱり、どこか笑顔にあの時の面影があって…
私、すごい鮮明にあの時のこと覚えてるのかもしれない。
「こんばんは…王子様」
なんとか言葉を返してみるけど、緊張で震えてしまってる。
目が合っているこの時間でさえ、私の緊張をさらに増していく。
会いたかった王子様が今目の前にいる。
『よかったら、この後僕と踊ってくれないか?』
彼はそう言うと少しだけ照れてるように口元を手で隠した。
…実は王子様が舞踏会で踊る女性の数はたった1人。
でもそれは誰もが知っていることだ。