偽物シンデレラ
★ニセモノ。
***
『その赤い髪、すごい綺麗だね。
生まれつきその色なの?』
「そうです、母譲りで…」
『そうなんだ、あぁ、もっと軽く話していいよ。その方がきっと楽しいから』
どこか人懐っこさがあって、でも大人っぽくて、可愛らしい方だった。
居心地がいい、ずっと彼の隣で話していたい。
…それは無理ね。
そう思うとなんとなく悲しくなった。
_____その後も彼との話は途切れずに続いた。
まるで夢のような時間だった。
彼は笑顔で私の話を聞いてくれたり、お城での事を話してくれたり。
王子という役目がとても大変だということをすごく感じた、まだ若いのにそんなに仕事をしなければいけないのか…と。
『ねぇ、また会ってくれるかな』
「え?私とですか…?」
『もちろん、今日だけじゃ足らない。
またキミと話す時間が欲しい』
そう言われて胸が苦しくなった。
少しだけ目に涙が浮かんだ。