偽物シンデレラ
無意識なのか彼は「会いたい」と二回言った。
その言葉が心に刺さる。
貴方が会いたがっているのはここにいる「シンデレラ」であって、私じゃない。
…今日の私はシンデレラのニセモノ。
明日になれば…いや、この魔法が溶けてしまえば私はただの見習いの魔法使い。
貴方が会いたがっているのは…、本当の私じゃない。
…下手に会いに来なければよかった、そうしたら夢で終わっていたかもしれないのに。
より一層、貴方を好きにならなくて済んだのに。
「ごめんなさ…」
その時、ゴーン…と城の鐘が鳴り出す。
あぁ、もう12時に…