偽物シンデレラ
その瞬間ハッと思い出す。
"明日"になれば魔法は解けてしまうのだ。
鐘がなったということは、もう…
舞踏会は昨日のことになってしまう。
魔法が解ける…っ!
ドレスの裾が透明にわずかになっている。
慌てて私は彼から離れた。
「ごめんなさい…!私もう行かなくちゃっ!」
「っ!?待って!!」
彼が私に手を伸ばしたけれど、その手はすり抜けた。
だめなの、もう終わりなの。
もう貴方とは会えないの。
私は無我夢中に走った。
…夢はすぐ冷めるものよね、なんて思いながら。