偽物シンデレラ
「シンデレラはいますか」
悲しげなと言ったらいいのだろうか、疲れているのだろうか、あまり笑顔ではない王子様がわたしたちの家に来た。
わたしを…探して。
「シンデレラはわたしです」
でしゃばったらお義姉さんたちに怒られそうだけど、今回ばかりはしょうがないわよね。
王子様はわたしを見て目を見開く。
「貴方が…シンデレラ?」
「灰かぶり、なんて名前わたししかいないと思いますよ」
シンデレラの本当の意味は灰かぶりだからね。
でもなんで彼はわたしの名前を知っているのだろう。
でも私がそう言うと彼は首をわずかにかしげる。なにかあったのだろうか。
それとは逆に、後ろに立っていた家来の人が王子様の肩を叩きながら、
「やっと見つかりましたね!王子!」
と笑った。
やっと、とはどういうことだろう。