偽物シンデレラ
家来の人が私にガラスの靴を差し出した。
すごく綺麗な…
「履いて見てください」
わたしはそう言われて言われるがまま、その靴を履いた。
…スポッとはまった。
その瞬間家来の人はパアッと笑顔になった。
王子様の顔は晴れなかった。
「シンデレラ!貴方ですね!!
さぁ、お城の方まで!!!」
ぐいっと家来の人はわたしの手を引っ張り、家から出した。
随分乱暴な人だなこの人、と思ったけれど、
どちらかと言うと嬉しすぎてよく分からない状況になっているみたいだ。
…でも何かが引っかかる。
なぜ王子様はわたしを探していたのだろうか。
シンデレラの、名前をなぜ…
その考えた瞬間、やっとわたしは思い出した。
あぁ、どうして忘れていたのだろう。
…本当にわたしなんで覚えていなかったのだろう?
まるで…魔法でもかけられていたみたいに…。
あの子の事をどうして、忘れていたのだろう。