偽物シンデレラ


「待って…っ!」

家来の人の手を振り払う。
なんて、無礼なことをなんて思っている場合じゃない。


「王子様、なんで何も言わないの?
分かってるでしょ、あの時の女性がわたしと違うということを」


彼の目を見てそうハッキリ言うと彼は言葉を詰まらせる。
…きっと分かってはいるんだ、でも理解出来てないんだ。


「シンデレラなんて名前の娘、わたししかいない。でもあの日わたしは違う人に名前を貸したの」


「…っ、それはいったい…」


王子様はまた、悲しそうな顔をする。
気付いて…っ


「何を言ってるんですかー、貴方がシンデレラなのでしょー??

じゃあ王子様、早くこの娘を連れて帰りましょう!!」


陽気な家来の人はぐいっと王子様の服の袖を引っ張る。
何も知らない人はお気楽なものだ。


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