偽物シンデレラ
でもその言葉があの時の僕にとっての一番の言葉。
彼女も安心したのか泣き止んだ。
今思うとすごい単純だな、なんて思う。
「キミ…名前は?」
「レイラ…」
彼女は小さな声でそう言った。
少し悲しげな顔をするのはどうしてだろう。
「お母さんが付けてくれた大切な名前だから、なんだか悲しくなっちゃって」
僕が思ったことを察したのか自ら彼女はそう言った。そうか、だからか。
「貴方の名前は…?」
「僕の名前はチャーミング」
そう言うと彼女はニコッと笑った。
その笑顔はあまりにも綺麗で思わず見とれてしまったのだ。
幼いながらもそんなことを思ってなんて、
思い出すと僕はませてたんだな、なんて思う。
「素敵な名前ね」
…そう、僕は彼女のその笑顔に惚れてしまっていたんだ。