偽物シンデレラ


今頃、王子様はシンデレラと会っているのかしら。
それであの時あったわたしの事をシンデレラだと思い込んでいるのかしら。


シンデレラには魔法をかけた。
わたしの事を忘れるように、と。


だってもし覚えていたら、すぐにわたしじゃないと言いそうなんだもの。

危なかった、まさかわたしなんかが王子様と踊れるなんて思ってなかったんだもの。


ただ見るだけだったら魔法をかけなくてもよかったんだけど…



袖の中から細い杖を出し、ひらっとその場で振る。
するとパァァッと一斉に花が咲き出す。



わたしの魔法もなかなか上達したかな…なんて。



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