偽物シンデレラ
「あの日、舞踏会に来て僕といてくれたのはキミだろ?
シンデレラから聞いたよ、名前を貸したって」
そう言われて耳を疑う。
どうして忘れるようにかけた魔法が解けてしまっているのだろう。
「あともう1つ。
僕は昔キミと会っているよね、あの時ここで会った少女はキミだよね…
そうだよね、レイラ」
"レイラ"
なんて懐かしい響き。
…そう私の本当の名前はレイラ。
お母さんがつけてくれた大切な名前。
それをずっと名乗らなかったのは、お母さんを思い出すと悲しくなって心が壊れてしまいそうになるから。
魔法使いのおばさんにその事を話すと、黙っていればいいと言われたのだ。
だから私は名前の無い魔法使いの弟子として生きてきたのだ。
でも彼は…王子様はそんな事を覚えていてくれたのだ。