リナリアの王女
プロローグ:夢の中の私と彼
 私は最近変わった夢を見続けている。
それは、夢の中で見知らぬ男性に呼び掛けられ続ける夢。
金髪に蒼い瞳が印象的な美しい男性。
一目で外国人と分かる風貌をしている。
夢の中で呼ばれる名は、本来の自分の名前とは異なっているのだが、でもその違う名を不思議と私は自分の名前だと認識しているのだ。
男性は私に向って名前を呼びかけ続け、切なげな視線を投げかける。
それが無性に胸を締め付けるのだ。
もっともこの夢の中で私は動く事はおろか、声を発する事も出来ないのだが。
そんな夢を連日連夜見続けている為、気になりつつも私は日々の生活を続けていた。

ある日、いつもと違う夢を見る。
それが私の人生を大きく変える事となる。






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