リナリアの王女
第三章:主従関係、それでも友達のなりたい

―コンコン―
そこにまた扉を叩く音。
きっとサラさんだろう。
「入っても大丈夫ですよ」
どうしても畏まってしまう。
『失礼致します。食器を下げに参りました。お食事は口に合いましたでしょうか?』
「わざわざありがとうございます。ごちそうさまでした。どれも美味しかったです」
自分が使った食器を誰かに片付けてもらうのはどうしても申し訳なく感じてしまう。
『先ほども申し上げましたが、私に敬語は不要です。私はエリーゼ様の侍女なのですから』
「すいません。あの、どうしても慣れなくて・・・」
なんだかサラさんを逆に困らせてしまってるようだ。
ここはやっぱり私が慣れなくてはいけないのだろうか・・・。
「あの、少しずつ慣れるようにしていきますから」
『エリーゼ様が気を遣っていただく必要はありません。エリーゼ様が楽なようにしていただいて大丈夫です』
慌ててそう言われた。
彼女の立場として主に当たる人に敬語を使われるのは慣れていないのだろう。

「えっと・・・じゃあサラちゃんって呼んでも良いですか?」
『サラちゃん・・・ですか・・・?』
「やっぱりだめですか?友達になってもらいたかったんですけど・・・」

図々しかっただろうか。完全に困り顔になってしまった。
しかしこの世界に知り合いは今のところクラウドと彼女しかいない。
年齢は分からないが、見たところ近いように感じた為、友達になってもらいたかった。



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