リナリアの王女

　クラウドに伴われて着いた先は大広間だった。
下の階にはこのお城で働いているのであろう人達が沢山いた。


こ、こんなに沢山の人がいるの・・・？
私、大丈夫かしら・・・？
サラちゃんが自己紹介だけで良いって言っていたけれど、本当にそれだけで良いの・・・？


さっきまで何とかなるだろうと思っていた自分を殴りたい。


緊張で手が震えてきた。
「皆の者、朝からすまないな。皆に紹介したい者がいる」
クラウドが堂々と皆に話す。
これが国王になる人の資質なのだろうか。
少しだけ私を前に押し出した。


私に話せって事だよね・・・。


「あ、あの！私、エリーゼと申します。突然来て申し訳ないのですが、これからお世話になります」
そう言いながら頭を下げた。
すると下にいる人達が少し慌てている。


・・・何かまずかっただろうか・・・？


「皆も知っての通り、エリーゼは異世界からやってきた俺の運命の相手だ。文化の違いなどもあるかもしれないが、良くしてやってくれ」
「宜しくお願いします！！」
もう一度頭を下げた。
すると、
『エリーゼ様！！頭をお上げ下さい！！これから宜しくお願い致します！！』
次々とそう言ってくれる人がいた。
どうやら私の立場上簡単に頭を下げるものではないらしい。
「このようにエリーゼはとても奥ゆかしい性格をしている。皆を驚かせる事もあるかもしれないが宜しく頼むぞ」

『もちろんです！クラウド様！！』
『エリーゼ様の事もこれからは我らでお守り致します！！』

クラウドが話すと皆が納得するというか、なんて言うか凄い。
私に不満がある人もきっといるだろうけれど、そんな事を言う人はいなかった。
とりあえずは一安心だ。
「今日は簡単にエリーゼを皆に紹介したかっただけだから、もう持ち場に帰って構わない。今日も宜しく頼むぞ」
『畏まりました、クラウド様！失礼致します！！』
クラウドに対し頭を下げると、各々が自分の持ち場へと帰って行った。

「俺達は食事に行くぞ。エリーゼ、良くやった」
私の目を見ながら優しく言うクラウド。