リナリアの王女



 「サラちゃん・・・ありがと。本当にありがとう」


なんだか涙が出てきそうだ。
『どうしたんですか?私はそんなにお礼を言われるような事はしていませんよ?』
急に私が何度もお礼を言ったからサラちゃんが心配げに聞いてきた。
「ううん、何でもないの。ただサラちゃんの事好きだなって思って」


サラちゃんはそんな私の本心など気づかなくていい。
確かに私とサラちゃんの間には主従関係が存在する。
だけどそんな事関係ないじゃないか。
それよりも私とサラちゃんは友達なんだ。


何にも代えがたい大切な関係。


今はサラちゃんに頼りっぱなしの状況だけれど、そのうち慣れてきたならば、
必ずこの感謝の気持ちを返そう。
きっとサラちゃんは今みたいに、
『私は特に何もしていない』
って言うだろうけど。


『えっと・・・ありがとうございます』
サラちゃんは私の好きという言葉に照れながらもお礼を言った。




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