リナリアの王女
第五章:新しい出会い、認められ、認める気持ち
 お城での生活も少しずつだけど慣れてきた。
と言っても、朝食はクラウドとダイニングでとって、そこからクラウドは執務室へ、私は自室に戻ってのんびり過ごしたり、バラ園に行ってお茶を飲んだりしているだけなのだが。

クラウドとのお茶会の時にお願いしたバラの世話の仕方を教わるというのは、まだ実現していない。
その代わりと言ってはなんだが、サラちゃんとのお茶会は何度か実現した。
初めて会った時から、サラちゃんとは年齢が近いように感じていたが、やっぱり思った通り同い年だった。
そういう事もあり、女の子同士の会話はとても盛り上がった。


サラちゃんはクラウド付きのお世話係というか教育係の男性に好意を持っているようだ。


私はまだ会った事はないが、サラちゃんが言うには、厳しいがその心根はとても優しく、優しさ故の厳しさらしい。
サラちゃんがお城に勤めだした頃、様々な事を教えてもらううちに自然と好意を抱くようになったらしい。
その話しをしている間のサラちゃんは終始顔を赤くさせていてとても可愛かったのと同時に、そんな顔をさせる男性は一体どんな人なのかと思いを馳せてしまった。

逆に私がクラウドの事をどう思っているのかも聞かれてしまった。
・・・確かに、私には勿体ないぐらい良くしてくれているのは分か常に私の事を気に掛けてくれているし、十数年間私一筋に、私と会える日を心待ちにしてくれていたと聞いて、嫌な感情を抱く人も少ないだろう。


少なくとも嫌いではない。


それだけははっきりと言えるが、この気持ちが恋によるものなのか、それとも異世界で生活していく私の面倒を見てくれている事に対しての感謝の気持ちなのか分からない。
そのことをサラちゃんに言ったら、



『焦らずとも感情に気づかされる時が必ず来る』



と言われてしまった。
その時ばかりは、同い年のはずなのに、どこかお姉さんのような感じがした。




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