リナリアの王女
 「はぁ・・・今日はどう過ごそうかしら・・・」
どこかに行くといっても、私が行ける場所なんて限られているし、もしどこかに出掛けるとなるとサラちゃんに付き添いを頼まなくてはならない。
毎度毎度サラちゃんの用事も考えずに、私の暇潰しに付き合わせてしまうのは申し訳ない。

「となると、今日はこの部屋で過ごした方が良いよね・・・」

広い部屋に一人でいるとついつい独り言が多くなってしまうのはご愛嬌だ。
この部屋で出来る事・・・サラちゃんに頼んで本などは持ってきてもらっている。
本を見て初めて知ったのだが、この国の言語は英語のようだ。
更に驚く事に、私は英語が堪能ではないはずなのに、普通に読む事が出来ているという事だった。
会話も知らない間に英語で話しているのだろうかと疑問を覚えるのと同時に、この国に私の身体が勝手に順応してきている事に対しての恐怖も覚えた。
とは言え、会話が出来ない場合はもっと困っていたのだろう事は容易に想像出来る事なのだから、ここはありがたいと思っておく事にした。


「お菓子・・・とか作ってみようかな・・・?」


確かサラちゃんが持ってきてくれた本の中にお菓子のレシピ本があったはず。
ご飯に関してはありがたい事に専属のシェフさん達が作ってくれている為、自分で作る必要がない。
でもせっかく自分の部屋にミニキッチンがあるんだ。
これを活用しない手はない。
「何を作ろうかな・・・?」
お菓子のレシピ本をパラパラと捲りながら考える。
お茶の時間の時の為にマドレーヌとかにしようかな?
「でも冷蔵庫に材料ってあるのかな?」
冷蔵庫を設置しているぐらいだから、何かしらが入っているとは思うが、お菓子を作る為の材料が揃っているとは思えない。
結局サラちゃんに頼る事になりそうだ。


「まずはサラちゃんを呼んで、厨房に行こう」
お城の厨房まで一緒についてきてもらって、材料の調達から始めよう。





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