リナリアの王女
第七章:仲直り、そして・・・
―コンコン―
クラウドの執務室の扉を叩く。
「入って良いぞ」
いつもの柔らかな声音ではない、どちらかというと少し不機嫌な声に胸がドキリとする。
私は何も言わずに部屋の扉を開いた。
「なんだ、また仕事を持ってきたのか?」
奥の机にいるクラウドはこちらを見ることなくそう言った。
・・・もしかしてグレンさんが来たと思ってる?
部屋に入る時に声を掛けなかった私のせいではあるが、この不機嫌さの原因はグレンさんが来たと思ったからだろうか?
「さっきから何も言わないけどどうしたんだ?もしかして俺の監視にでも来たのか?」
黙ったまま訪問客にクラウドはようやく顔を上げ確認した。
「あの・・・クラウド、」
私は急に顔を上げ、目が合ってしまった事に驚いてしまい何も言えなかった。
「エリーゼ!」
彼は訪問客が私だと気づいて慌ててこちらに来た。
そして思いっきり抱き締められた。
いつも彼が私に触れる時はとても優しく、柔らかく包み込むような触れ方だった、
だけど今は力の限り抱き締められている感じがする。
彼の胸の鼓動の音がしっかりと感じる。
きっと彼にも私の鼓動を感じているだろう。