リナリアの王女
 「エリーゼ?」
私の様子がおかしいと感じたクラウドは、抱き締める手を緩めて体を離した。


だめ。


泣いているのがばれてしまう。


「ごめんなさい・・・私が泣いて良い立場じゃないのに・・・」
まともに謝る事さえ出来ない自分が情けない。
「エリーゼは本当に泣き虫だね」
私の瞳から零れ落ちる涙を掬い取って彼は優しく笑った。

その言葉に、笑顔に、また涙が溢れてきてしまう。

「ごめんなさい、クラウド、」

私はまるで壊れたおもちゃのようにただ謝る事しか出来なくなってしまった。
「おやおや、もう謝らなくてもいいよ。あれはお互い様って事にしよう?」
だからもう謝らなくても良いんだよ、と彼は優しく笑う。
しかし子供のように泣きながら謝罪を繰り返す私をクラウドは少し困ったように見る。
「私、クラウドに謝らなきゃいけない事が沢山あって、」
「俺に?エリーゼに謝られる事なんてあったかな?」
彼は泣きじゃくり上手く話せない私のテンポに合わせて急かすでもなく、ゆっくりと話しを聞いてくれる。
それがまた泣き止めない原因になっているのだが、そんな事クラウドは気づかないだろう。




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