長すぎた初恋の延長戦
1章−あのころ−

きみとであう

私の出席番号26番。
彼の出席番号27番。
船瀬燈と丸井文也。

これだけで、私と文也がどんな出逢い方をしたかなんて、誰でも容易に想像出来るんだろう。

「お前が俺の隣のヤツね。…へー、よろしく。」

高校に入学した頃出席番号が前後だった私たちは、当然教室での席だってお隣さん同士。

そんな私が文也を見て一番最初に思ったことは、かっこいいけどチャラくて少し怖い人。

大丈夫かな。これからお隣さんとして上手くやっていけるかな。

「…ふは。なん、お前緊張してんの?顔強張ってる。」
「だ、だって…。」

だけどそんな不安は、頬杖をついてちょっとダルそうにしてる文也の笑顔に全部持ってかれたんだっけ。

「んー…ほら。」

ずいっと、頬杖を付いていない方の片手を、無遠慮に突き出してきた文也。
突然の事だったから、私は当然ポカンとした表情でその手を見つめる事しか出来なかった。

「な、なに…。」
「握手だよ、あーくーしゅー。」

なんで分かんないんだよ、とでも言いたそうに文也の眉尻は下がるけど、普通の人には分からないと思うんだ。
なんて、そう思ったけど勿論言葉には出来ないで、導かれる様に私は文也の手をそっと握った。

「はい、これで俺とお前は友達。」
「えっ?」

私が手を握った途端に、繋がれた手を上下に降って嬉しそうに頬を緩める文也。

そんな文也に、私はただ戸惑うばっかりで…。
今思うとこの頃から文也には、人を振り回すある一種の才能があったのかもしれない。

「な、簡単だろ。変に緊張しなくたって大丈夫だって。」
「…!う、うん…。」


そんな丸井文也くんの第一印象。
かっこいいけどチャラくて少し怖い人。

「…ありがと。」

だけど優しくて、笑顔が可愛いお隣さん。
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