不機嫌プロポーズ




『そうだけど…そうだけど…。でも、わたしは昔の恋に未練なんてないから…。だから君がそういうものを持っていたのが思っている以上にショックっていうか…』




視線を下に落とし、指をもじもじと動かしながらそんなことをいう彼女に正直、かなり動揺している




それってつまりヤキモチというものですか?




まさか彼女が俺に対してヤキモチを焼くなんて…




どうしよう、嬉しい




…けど、俺は昔から彼女のことしか見ていないので、なんか少し違う気がするのは気のせいだろうか?




『…これ以外も何か昔のものってあるのでしょうか?』




『ない』




『ほ、本当に…?』




不安げに訪ねてくる彼女の上目遣いに不覚にもドキッとしてしまう




なんだよ、その可愛い反応は




ドキドキと鳴る胸の高鳴りを誤魔化す様に彼女の頭をぐしゃぐしゃと撫でる




『…今はお前だけだから、そんなのまったくないよ』




今、というか昔からずーっとお前だけだけどな







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