Green girl
雇われカメラマン
深い新緑の中、きらきらとした雨の雫が光を飛ばした。でも何かが抜けている。絶対的何かがに足りない写真には、才能の片鱗も見えてこない。

俺は写真を凝視しながら、これはいつのことだったかを思い返した。

これは大学2年...いや、3年の頃にいったサークルの合宿の時か?どっちだっただろう。

きらきらした写真に思いを馳せた。
しかし、何故か突然頭が強い頭痛に覆われた。身体が拒否してるように。
昔の写真を思い出そうとすると最近どうもこうなってしまう。

泰輔はそっと作業をやめベッドの上に横になり、携帯電話を起動させた。
着信はゼロ。それもそうだ。十分前に確認したばかりなのだから。

かれこれ半月も写真を整理してはだらけるような生活を送っている。大学も卒業し、立派な社会人になったというのにだ。

理由は簡単である。


彼は蒸発したからだ。
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