Green girl
それでも甘言を言ってる場合ではない。自分は夢を諦め社会から生きていくことも辞めてしまった脱落者なのだから。
だからこうして、撮った写真を整理して関西に戻る準備をしているのである。
しかし、全く作業が進まない。
というか、何も両親に報告していない。
仕事を辞めた、なんて。
ピローンと突然、目が覚めるような着信が響いた。
携帯電話の着信音のボリュームを調節し間違えたままだったのだ。
画面を覗くと先輩...いや、元先輩の芦屋さんからのメールだった。
頭痛と突然の着信音にイライラしながら、泰輔は気だるくメールを開いた。
「戸郷ー!お前さ、今フリーターだよなー?」
...出だし早々失礼な先輩だ。
しかし、それが事実であったりするから反論の余地もない。
「お前に条件のいい仕事が来たから特別にやるよ。メール読んだら連絡してくれ。」
...俺は先輩に電話をかけることにした。
躊躇いなんて一秒も生まれなかった。