Green girl
都合のいい、なんてどうせ今までの仕事とは変わらない。断ろう。

そう頭のなかでは思っていても、自然と携帯電話で俺は先輩を呼んでいた。
カメラに希望なんて持てなかった。
でも少しでもそれで食いつないでいけるというのなら。


『おっおお、もしもし?』
「ご無沙汰してます、戸郷です」

そういえばかれこれ半年も会ってないな先輩と。何だかんだメールで連絡をとっていたがいざ声を聞くと急に改まる。

『お前聞いたぞ。あの派遣辞めたんだろー?

「...はい。すんません」

俺は少しだけ狼狽した。まず始めにあの派遣会社にへと導いてくれたのはこの人だからだ。

『まあ、判らんでもないわ。あの派遣の仕事結構さ、待遇悪かったじゃん?』

そういえばこの人も、俺が辞めた一月後に辞めたよな...そんなことを思い出した。

先輩は今、小さな広告代理店に勤めている。
どこで拾われたのかは知らない。けれど、いつの間にか仕事が決まっていた。俺からすればまともに働いてるだけでも羨ましい。

「今ほんまにフリーターなんすよね...」
『うけるわー、戸郷そんな自虐的なタイプじゃなかったじゃん。人が変わってる!』
「失業者なんはマジな話やし...」
『お前全く訛り抜けないねーいいわー』

こっちは真面目なトーンだというのに。中々この人は本題に入らない。今さら仕事下さい何て堂々と言えるはずないだろうが。
その惨めさを煽るように先輩は能天気だ。

『あー、メールのことっしょ?』
「はい。困ってるんですよこのままだと...」
『りょーかい、んじゃあ詳しく話すわ』


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