イジワル婚約者と花嫁契約
プロローグ
「灯里は本当に笑顔が似合うな」
そう言って目尻に皺を沢山作って笑うパパの顔が大好きだった。
「灯里はあなたにそっくりよね」
パパの笑顔につられるよう、嬉しそうに微笑むママの顔は、もっと好きだった。
ふたりが笑ってくれるから、私はいつでも笑顔でいよう。
だってみんなで笑って過ごせる毎日が、私にとってなにより幸せなことだったから――……。
たったひとつの幸せだった。
その幸せはある日急に、崩れていってしまったんだ。
多くのことなんて望んでいなかった。
どんなに貧しくても、パパとママがいればそれだけでよかった。
なのに、どうしてそんな願いさえも神様は叶えてくれなかったのだろう。
そう言って目尻に皺を沢山作って笑うパパの顔が大好きだった。
「灯里はあなたにそっくりよね」
パパの笑顔につられるよう、嬉しそうに微笑むママの顔は、もっと好きだった。
ふたりが笑ってくれるから、私はいつでも笑顔でいよう。
だってみんなで笑って過ごせる毎日が、私にとってなにより幸せなことだったから――……。
たったひとつの幸せだった。
その幸せはある日急に、崩れていってしまったんだ。
多くのことなんて望んでいなかった。
どんなに貧しくても、パパとママがいればそれだけでよかった。
なのに、どうしてそんな願いさえも神様は叶えてくれなかったのだろう。
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